1996年10月13日 Oracle LIFE に掲載されました
Network Computerをいち早く体験!!
Acorn社のマシンとRISC OS-J
開発元ペンシル社に聞く
Acorn社はNetwork Computer(NC)のプロ卜タイプを公開しているコンピュータメーカーだ。そのAcorn社のマシンを扱っているペンシル社は,Acornのマシンに搭載されているRISC OSを日本語化し,NC日本語版用開発システムとして販売する。
Acorn(エイコーン)とペンシル
ペンシルは去年の2月に設立された会社で,コンピュータの導入に向けたコンサルティング&サポートとセミナー,インターネットトータルサービスなどを行っている会社である。インターネット関連ではアメリカにT3(45M)接続にてサーバ設置し,「ComDomainサービス」を行っている。また高速多機能サーバの低価格WEBレンタルを日本で最初に行った会社でもある。同社が運営している掲示板も日経ネットのランキングで4位になったこともあるという。
そのペンシル社のニュープロダクト事業として,Acorn社のコンピュータがある。これはAcorn社のマシンに搭載されているRISC OSを日本語化した『RISC OS-J』の開発やAcorn本体の販売,サポートを行っていこうというものだ。これらのシステムはハイエンドグラフィックマシン,デジタルビデオ編集マシーン,NC日本語版用の開発システムおよびNC用コンテンツ制作システムとして販売していこうと考えているという。
ペンシル代表取締役社長である覚田氏はAcornとの関わりについて,「パワフルなCPUにオープンなアーキテクチャを持った低価格な高速なマシンとして,Acornには8年ぐらい前から興味を持っていました。しかしAcorn社は英国のメーカーだけあって,日本語が使えないのです。そこで友人のアレキサンダー氏と共同開発して日本語が利用できるようにしたのです」という。そこで氏は開発を本格的に行うために,英国に開発会社「Q TECHNOLOGY社」を設立し,ペンシル社と共同開発していくそうだ。
その中でペンシルはAcorn製品のマーケティング,セミナー,サポートの販売を担当する。そもそもAcorn社のマシンは画像処理関係に強く,ビデオや面像編集ソフトも揃っており,他のプラットフォームで作成したデータをそのまま読み込んだりできるうえに非常に高速に処理できる。なお,英国の放送局であるBBCはコンピュータ教育番組にAcoemを使って全国放送したり,デジタルビデオ編集システムにもAcorn社のマシンを利用しているそうだ。
RISC OS-Jと開発キット Acorn社はARMチップを搭載したコンピュータを販売しており,またそのARMチップを最大限生かすためのRISC用のOSのトップメーカーであり,現在のものは8年もかけて作成されたものだという。
このOSを日本語化するにあたって,本体仕様などの資料が手元にないので,覚田氏が独自に研究して作り上げたという。その結果,非常に小さいわずか100Kバイト以下という,小ささで,OSを完全に日本語対応にしてしまった(フォント・辞書を除く)。
このRISC OS-Jは英語版のRISC OS-JにローカライズドOSという,たったひとつのファイルであるコンポーネントを入れると,OSが日本語表示されるだけではなく,アプリケーションまでもが自動的に対応し,日本語表示から入力までサポートされるという。そのため今までのように,OSがローカライズされた後にアプリケーションのローカライズを行うという,二重に手間がかかっていた日本語化への遅れという欠点を克服したシステムであるという。
OSが新しくなってもそのコンポーネントを入れるだけでOSやアプリケーションが日本語化されるという。別のコンポーネントを入れることでアプリケーションのメニューやヘルプ,ダイアログボックスも日本語で表示され,完全にローカライズされたものと同じになるそうだ。また独自に開発した日本語フォントも特別な技術を利用しており,小さな文字でもつぶれないよう隙間情報を持たせるなど,きれいに表示されるようになっている。
NCをいち早く体験するNCはARMチップを使い,AcornのRISC OS-Jとコンパチブルなので,NCとAcornは同じようなものだという。実際にNCに搭載されている画像やビデオ,音楽,音声などはAcornを利用して制作され,またNC上で動作するOSやアプリケーションはAcorn上で開発しているところもある。またNC用のコンテンツはAcornで開発する事がもっとも最適だという。つまりNCに携わる人たちにとって,Acornは欠かせないものになりそうだ。
「将来的にNCがリリースされても,私たちはNC本体を売ることは考えていません。NC開発システムやNC用コンテンツ作成システムの販売,そしてテクニカルコンサルティング,サポート,セミナーしかやりません。あくまでNCでビジネスをする人のバックアップをしていきたいのです」と覚田氏はいう。
NC日本語版のリリースは来年3月といわれているが,登場する前に,あらかじめAcornを使ってNCの疑似体験しておくのはおもしろいかもしれない。現在,開発システム用のRISC OS-Jのβ版は日本で3台ライセンスされているという。「そのうちの2台は,日本オラクル社にデモ用としてライセンスしました。先月NCの発表会に利用したのはこのシステムです。デモのときにインターネットに接続し,NTTのページにアクセスして日本語表示を見せていたのは,AcornにRISC OS-Jをインストールし,ペンシル社が開発したPENCIL WEBというブラウザーでデモを行っていました。このデモのために,米国Oracle社とNetworkComputer,Incに許可をもらいました」。
このRISC OS-Jをベースとしたアプリケーション開発システムは,価格は未定ながら400万円程度を予定しているそうだ。この価格にはAcorn本体,RISC OS-J,FEP,日本語フォント2書体、ビデオ編集ソフト,グラフィック編集ソフト,ベクター編集ソフト,Webページ編集ソフト,オンライン日本語マニュアルが含まれる。これらのソフトはBBCで使われているものと同じものである。